with CRS

先天性風疹症候群(CRS)の当事者が風疹関連ニュースなどをお伝えするブログです。

寒中お見舞い申し上げます。年始のご挨拶をしないまま半月ほど経ってしまい申し訳ありませんでしたm(_ _)m

昨年は、長年の願いであった眼内レンズの挿入手術を受けました。その後、左目が眼内レンズ偏位となり再手術となりました。レンズのずれにより左目に複視(ものが二重に見える)が生じ、あと一日、一日、と手術を待つあいだがとても辛かったです。その後、大学病院にて再手術となり、やっと複視のない状態になりました。精神的にも辛い状態でしたが、皆様から頂いた暖かい言葉が大きな励みとなりました。

また、風疹の大流行、先天性風疹症候群の発生を受け、当事者としての情報発信をはじめたことがきっかけで、たくさんの方と出会う機会をいただきました。親御さんや当事者さんたちとも情報交換をさせていただきました。新聞社の記者さんにじっくり話をきいていただいて、それから恩師の先生に出会える機会をいただいたこと、そして記事にしていただくことができました。

昨年を振り返ると、本当にたくさんの方々が私を支えて下さったのだなあということを感じます。素晴らしい一年となりましたことを心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

本年は、将来へ向けて、跳躍の一年にするつもりです。今後も、どうぞよろしくお願いいたします!

先日、墨田区の母子保健研修に参加させていただき、最後のほうで3分ほど少しお時間をいただいて、風疹のことで悩んでいる人が一人ぼっちにならないようにしてあげてください、と簡単にお話させていただきました。墨田区は、私の出生地であり(育ったのは別の区ですが…)、貴重な機会をいただけたことをありがたく思います。

内容は、人工内耳や聾学校の乳幼児教育相談についてのお話などで、特に新生児聴覚スクリーニングについては最近の動向を聞けて参考になりました。大学病院や大きな総合病院でも、スクリーニングを実施していない病院があるという話があり、衝撃を受けました。また、スクリーニングを実施したあとのケアも十分とはいえないと感じました。

人工内耳についてはさまざまな意見があるのですが、難聴の発見自体は、一日でも早いほうがいいです。人生の中で親子で一緒にいられる時間は限られているので、親子が一日でも長く笑顔で過ごせる時間を持てるようにしてあげてほしいと思います。親子間のコミュニケーション手段を確保し、子供が安心して過ごせるような環境を整えてほしいです。大人になったあとも、健聴者と等しく情報にアクセスできるように、いつでもどこでも手話通訳や要約筆記による情報保障を受けられるようにしてほしいです。

行政のみなさん、CRSの子をもつお母さんやCRSで生まれた子たちが路頭に迷うことがないよう、ご支援をお願いいたします。私も、今年生まれてきたCRSの赤ちゃんが大きくなるまで、微力ながら支えていきたいと思っています。

そもそもの原因である風疹については、今下火になりつつありますが、大流行の芽はまだ残っています。下火になっている今のうちに、しっかりと芽を摘み取ってほしいです。2020年の東京オリンピックで、わが国が大恥を掻くようなことがあってはなりません。

神奈川県では、黒岩知事が『神奈川県風疹撲滅作戦』と称して『(1)神奈川で風しんの流行を発生させない (2)今後、妊娠する人から先天性風しん症候群(CRS)を出さない』ための取り組みを行っていくと宣言しました(定例記者会見(2013年12月26日)結果概要)。風疹の根絶に向けた取り組みが行われるということで、神奈川県民として嬉しく思います。他の都道府県の良いモデルとなってほしいです。

医療ルネサンス風疹連載の最終回は「先天感染児 早期発見へ」というタイトルです。この記事の後半に私がでてきています。私の部分だけ引用しておきます。

 CRSの当事者も支援を始めた。神奈川県の大学院生(24)は今年9月、ホームページ「先天性風疹症候群(CRS)とともに」を開設した。難聴と白内障、心臓の病気を持って誕生してからの記録を公開した。

 「CRSの赤ちゃんの親が、先の見通しをたてたり、希望を持ったりできるのではないか」と考えた。

 幼少期の記録を書くため、両親が保管していた育児日記を初めて読んだ。

 今月上旬、日記を持って、診察の責任者だった耳鼻咽喉科医の田中美郷さんを訪ねた。当時の様子を知りたいと思ったからだ。

 田中さんが初めてCRSの赤ちゃんを診察したのは1962年。その後、ワクチンが開発されたのに、半世紀たった今も、日本では風疹を根絶できずにいる。

 「風疹は、命を落とさないことから、軽い病気と扱われてきたけれど、障害を持って生まれた子どもや親の苦労を考えれば、決して軽くはありません」

 田中さんの言葉に大学院生は大きくうなずいた。

 「家族や友人に恵まれて幸せでも、人間関係で悩んだことは数えきれず、おなかの中で風疹にかからなかったら、目や耳の障害がなかったら、と思わない日はない」

 風疹の根絶と、生まれてきたCRSの赤ちゃんの支援をどう進めるか。今まさに社会が問われている。

田中先生とお会いしたきっかけは、ホームページ(を作るための資料を集めていたときに偶然見つけたもの)を、取材のときに持参したところ、記者の方がちょうど『ノーサイドクリニック』への取材を行っているということで、つないでいただくことができました。私の母が昔ホームトレーニングプログラムに参加した縁で、お会いさせていただく機会を持つことができたのです。

記事には書かれておりませんが、田中先生は子供を家に閉じ込めるのではなく、外に出ていろいろな体験をさせてあげて、子供の能力を限りなく引き出してあげることが大事だとおっしゃっていました。

当時の記録にも『目と耳に障害をもつ娘のことで心安まる日はなく、日々の成長の過程が楽しみでもあり、また苦しみでもあり、希望と絶望の繰り返しです。これからも同じ思いがずっと続くと思いますが、娘の能力を限りなく引き出せるよう親子で頑張っていく覚悟です』(要約)と書いてあって、何度読んでも涙が止まりません。

今回の流行で生まれたCRSの赤ちゃんとその周囲の方々が、手厚く支援を受けられ、また大きくなったあとも、手話通訳などによる情報へのアクセスを保障されることを願っています。

なお記事中で紹介されているホームページ『先天性風疹症候群(CRS)とともに』にて、今までの記録を公開しておりますので、お時間のある方はぜひご覧ください。あまりパッとしない人生なので、お役に立てるかどうか分かりませんが、少しでも誰かの希望につながればと思っております。

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